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<title>アモーレと労働法</title>
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<description>大内伸哉が書く労働法をめぐる雑感</description>
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<title>日本労働法学会</title>
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<description>　今回は，関西学院で開催されました。ほとんど外にいましたので，学会の報告内容につ...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　今回は，関西学院で開催されました。ほとんど外にいましたので，学会の報告内容については紹介できないのですが，ちょっと驚いたのは，場所が不便なところにあるという指摘が多かったことです。自然は豊かでよいけれど，地方の辺鄙なところで行われた学会と言われたりもしました。地元の人間にとっては，はなはだ心外です。西宮市民の私は自分の住んでいるところは，日本で一番文化的に進んでいると思って（思いこんで？）おり，他の場所から来た人たちに田舎扱いされてはたまったものではありません。阪神地区は，不便なところこそ，価値が高いのです。それはさておき……&lt;br /&gt;　懇親会では，専修大学毛塚勝利先生と関西学院で実務家教員をされている豊川義明弁護士（今回の学会では担当理事として骨を折られました）と間で，私の新作（『労働の正義を考えようー労働法判例からみえるもの』（有斐閣））について，話をしました。特に書名の「労働の正義」は，どうしてそういう名にしたのかを問われました。前にこのブログで書いたような説明をしたのですが，よく考えてみると，私の相対主義も，相対主義を貫くという絶対主義ではないか，という気もしてきました。相対主義はリアルで実効性のある労働法を目指すという私の労働法論の基本になるわけですが，毛塚先生のほうは，企業が労働者を雇用するときには「こうあるべき」という絶対主義的な価値観があります。私のように契約で決めれる余地を広く認めようとする考え方とは議論が平行線をたどりました。とはいえ，前にジュリストで書いた共同体仮説のようなもの（「非正社員に対する法政策のあり方に関する一私論－契約の自由と公正－」ジュリスト1414号を参照）は，毛塚先生の時間と空間を従事する平等論とは親和的で，そこでは話が合いました。もっとも私は共同体仮説を支持することには消極的なのですが。&lt;br /&gt;　懇親会での立ち話でしたが，かなりディープな議論ができたので，よかったです。それにしても，毛塚先生から，「あなたはどこに進んでいくのか。なんのために，そんなに書いているのか。」という質問をされました。私は，啓蒙というと上から目線のようですが，そういうことが大事だと思っているのです。労働法というものは，ブルーカラーと同じ目線に立って運動論的なものをやること，というイメージもあるのですが，私は，楽しくわかりやすく，できればおしゃれな労働法というものもあってよいと思っているのです。大事なことは，労働法を多くの人に理解してもらうことであり，それは人それぞれのやり方でよいと思っています。もちろん，本業は研究であり，次いで教育・普及活動というところです。&lt;br /&gt;　そういえば，私の学部の労働法講義を聴いた学生が，この講義は大学生全員が聴いたほうがよいと思ったというコメントをしているのを聞きました。これはほんとうに嬉しいことなのです。ゼミ生には，将来，公務員になって，中学生や高校生向けの労働法のセミナーを企画するのなら，私は手弁当で行くよ，と言っています。社会人相手の話なら，しっかり報酬はもらいますが，学生への教育こそボランティアでやるべきことだと思っています。廉価な『君たちが働き始める前に知っておいてほしいこと（改訂版）』（労働調査会）もありますので，自治体などで活用してくれればいいのになと思っています。&lt;/p&gt;

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<dc:subject>日記・コラム・つぶやき</dc:subject>

<dc:creator>フリオ</dc:creator>
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<title>聖女の救済</title>
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<description>聖女の救済 　東野圭吾『聖女の救済』　を読みました。女を子供を産むだけの存在とみ...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;聖女の救済&lt;br /&gt;　東野圭吾『聖女の救済』　を読みました。女を子供を産むだけの存在とみて，子供ができない女性は切り捨てていく男が殺されるという話です。犯人は最初からほぼわかっています。殺された男の妻です。しかし，妻には完璧なアリバイがあります。また犯行に使われた毒物の入手経路も，どのように使われたかも，よくわかりません。そこには，驚くべき深い女の執念があったのです。男は知らぬうちに，いつでも死刑執行されるギリギリのところで，妻と1年間生活していたのです。そして1年経ったところで，「死刑」が執行されたのです。&lt;br /&gt;　それなりに面白かったのですが，もう少し，このとんでもない男について，どうしてこういう性格になったのかなどを，詳しく書き込んでほしかったです。生い立ちについて簡単に言及されているだけで，なんだかすっきりしないところがありました。&lt;br /&gt;　でもやっぱり東野作品ですから確実に楽しめますよ。　☆☆☆&lt;/p&gt;

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<dc:subject>読書ノート</dc:subject>

<dc:creator>フリオ</dc:creator>
<dc:date>2012-05-26T10:34:12+09:00</dc:date>
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<title>女流4冠</title>
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<description>　里見香奈さんが，女流王位を奪取して，ついに女流名人・女流王将・倉敷藤花と並び女...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　里見香奈さんが，女流王位を奪取して，ついに女流名人・女流王将・倉敷藤花と並び女流4冠を達成しました。女流では，文句なくナンバー１です。清水市代さんに続く偉業達成です。清水さんは，このとき全冠制覇でしたが，現在ではタイトルが増えたので，まだ二つタイトルが残っています。マイナビ女子オープン（上田女王）とリコー杯女流王座（加藤女流王座）ですね。里見さんの6冠全冠制覇なるかが注目されるところですが，それよりも里見さんには史上初の女性のプロ棋士になれるかという大目標があります。現在は初段ですが，4段にまでたどりついてプロになれるのか。将棋ファンは大注目だと思います。まだ20歳になったばかりで，未来は無限ですしね。でも男性の奨励会会員からすると，女に負けるか，というところでしょう。それとも，いまの時代ですから，男とか女とか，そういう意識をもたない男の子が増えているのでしょうか。&lt;br /&gt;　さて男性のプロ棋士の戦いでは，名人戦が進行中です。絶不調であった森内名人が，やはり本番では力を出して，現在2勝2敗で先手番がいずれも勝利して拮抗しています。棋聖戦では，中村太地5段が羽生棋聖への挑戦権を得ました。タイトル初挑戦です。C級1組の棋士の挑戦で，将棋界では大事件です。数年前の広瀬7段のように一気にタイトル奪取までいけるか注目ですね。王位戦も大詰めで，羽生王位への挑戦は，渡辺竜王と藤井9段の勝者となりました。渡辺竜王と羽生2冠の頂上対決が実現するか，というところですね。広瀬7段は惜しくも雪辱の機会を失いました。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>将棋</dc:subject>

<dc:creator>フリオ</dc:creator>
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<title>法経連携講義</title>
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<description>　神戸大学は2年前から，法経連携の教育プログラムの下に講義をしています。2年前に...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　神戸大学は2年前から，法経連携の教育プログラムの下に講義をしています。2年前にもブログで書きました。そのときは私は試験の解説だけでしたが，今日は講義を担当しました。労働の法と経済ということで，経済学研究科の勇上さんと私で2コマ連続の講義をしました。ちょうど，『法と経済で読みとく雇用の世界』（2012年，有斐閣）が出たばかりなので，その内容をふまえた講義ということで，同書の第1章と第5章で取り扱っている，解雇と採用をテーマにしました。私が前半で，解雇と採用について，それぞれ法的な説明をし，後半は勇上さんが経済学からの説明をしました。労働は今週と来週の4コマで，その他の週では経済法や知的財産法など，さまざまな法分野において法と経済の講義が展開されます。&lt;br /&gt;　ただ，本日の受講者である学生のほとんどは経済学部の学生でした。法学部の学生にとって，経済学の授業は難しいのかもしれません。勇上さんは，解雇と採用の問題についての経済学の観点からの説明について包括的にやってくれたので，こういう講義を聴かないのは学生にとっては非常にもったいない気がしました。神大生も，これからは学生時代にどういう勉強したかが問われる時代になってきています。労働に関する法と経済の最新の議論をふまえた，こういう講義は，普通のカリキュラムではないと思い敬遠されているのかもしれませんが，もったいないですよ。&lt;br /&gt;　来週は最低賃金と非正社員問題について，もう一回，勇上さんと講義します。私の立場から言ってはダメなのかもしれませんが，次回だけは，テンプラ学生もウエルカムという気分です（事務に知られて追い出されても責任はとりませんが）。熱心な学生が多いほうがこちらのテンションも上がりますし。&lt;br /&gt;　それにしても今週は月曜から金曜までぶっ通しで講義であり，すでに水曜でへばり気味です。土曜は研究会がありますし。来週も月曜から金曜まで講義で，しかも労働委員会の大きな会議が火曜に入るので，いっそう疲れそうです。6月初めくらいに，祝日がほしいですね。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>日記・コラム・つぶやき</dc:subject>

<dc:creator>フリオ</dc:creator>
<dc:date>2012-05-23T23:10:42+09:00</dc:date>
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<title>書評御礼</title>
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<description>共著『法と経済で読みとく雇用の世界』（有斐閣）は，ついに日経新聞の書評にとりあげ...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;共著『法と経済で読みとく雇用の世界』（有斐閣）は，ついに日経新聞の書評にとりあげていただきました。私の関係した本で，日経の書評に取り上げられたのは初めてだと思います。首都大学東京の脇田成先生どうもありがとうございました。&lt;br /&gt;　ところで，その書評の最後に，次のような辛口のコメントもしていただきました。&lt;br /&gt;「本書もマクロ状況など外部環境の変化に対する視点が弱い。高失業率のもとでの「契約の自由」と、低失業率のもとでの「契約の自由」では実質的な意味が異なる。」「また、雇用の選択肢に乏しい地方と、そうではない都市でも、市場メカニズムが働く条件は異なる。あらゆる状況に応じた法律というものが一般に難しい以上、ここに一律規制の過剰と過少が共存する理由がある。より適切な制度設計のためには旧来の労働法が重視する企業の内部環境に加え、マクロの外部環境とそれとの相互作用を認識することが重要ではないだろうか。」というものです。&lt;br /&gt;　経済学の専門的な議論は，共著者の川口さんに適切に応答していただけるので，お任せしたいと思いますが，もし脇田先生のご指摘のうち，後半は，労働法規制が，ある種のフレキシビリティをもつべきということのように思えますので，そうだとすると，次のようなコメントが可能かもしれません。&lt;br /&gt;　よくご存じだとは思いますが，現行法上も，実はいろいろなフレキシブルな制度があるのです。誰でも知っているシンプルな例で言うと，労働基準法は，労働時間の上限について，1週40時間，1日8時間という規制があり，これは罰則付きで強制する強いルールですが，事業場ごとに使用者と過半数代表が三六協定を締結することにより，この法定労働時間を超過する時間外労働が可能となります。つまりこれは厳格な一律規制と事業場ごとの弾力規制の併存の例です。こうした手法を，労働法では，derogation と呼んでいて，その適否については議論があるところですが，それだけこれは労働法規制に柔軟性を与えており，ある意味では，法の過剰への対処といえるわけです。&lt;br /&gt;　個人的には，前にも書いたような，労働法の企業規模別の適用除外などがあってよい，と思っていますし，地域別の適用除外もありえるのでは，と思っています。最低賃金額が都道府県ごとに異なるのであり，そういうことができるなら，たとえば不況地域は労働法規制を部分的に排除する，というようなプランもありうるのではないかと思います。もっとも，これに対しては，労働者は，どこで働こうと同じような保護があるべきだという平等主義からの批判もあるのですが……。　脇田先生のご指摘を受けてこんなことを考えてしまいました。&lt;br /&gt;　前半部分の「契約の自由」については，高失業率の下では規制を強化して「契約の自由」を狭めるべきということかもしれませんが，それに対する一つの答えは，外部環境の変化は，労働組合の力で調整していくべきだ，ということになりそうです。日本型でいうと，春闘で相場を形成していくというメカニズムが，そういうものなのだったのでしょうね。法の規制は，必要最小限にとどめ，過半数代表制や労使自治で弾力的に対応していくというのが，一つの望ましい姿であり，これをどううまく機能させていくかは，法学のほうでも非常に重要な研究テーマとなっています。&lt;br /&gt;　日経新聞以外にも，週刊東洋経済でエコノミストの河野龍太郎さんに本書の書評をしていただきました。どうもありがとうございました。&lt;br /&gt;　やはり経済関係の本になると，メジャーな媒体にもとりあげられて露出も多くなりますね。&lt;br /&gt;　&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>私の著作</dc:subject>

<dc:creator>フリオ</dc:creator>
<dc:date>2012-05-22T22:53:55+09:00</dc:date>
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<title>日本の南欧化？</title>
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<description>　本日の日経新聞の経済教室で，「日本は南欧化するのか？」というテーマで，大学教授...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　本日の日経新聞の経済教室で，「日本は南欧化するのか？」というテーマで，大学教授に転身された鶴光太郎さんが，書かれていました。そこでは，財政の健全性と大きな政府・小さな政府の相関性に関する比較研究の成果を紹介されていました。この内容は，たいへん面白かったです。キーとなるのは，国民の公共心であり，それが高くても，低くても，大きな政府が志向されるというのです。イタリア，スペインのような南欧は公共心が低いが，大きな政府を支持するのであり，一方，北欧のように公共心が高くても，大きな政府が支持されるわけです。ここは因果関係が重要です。私が思うには，公共心というタームではなく，国民と政府との一体性というか，国民の政治過程への参加（意識）の程度が重要で，自分たちが関与している意識が強いということが高福祉を実現しているわけです。高負担への納得があるからです。ところが，南欧は，国民と政府との一体性が弱く，政府の福祉は求めるが，高負担はゴメンという発想です。財政の健全性に違いが出てくるのは当然なのです。ただ，政府への信頼というのは，イタリアのような国ではなかなか生じないだろうと思っていると，モンティ首相のような学者首相が登場して，これまでにないような変化を示し始めています。政治家や役人は腐敗していて，自分の利益しか考えないで税金を無駄使いしているという状況では生じないような政府への信頼が起き始めています。このことは高負担の甘受というものを生み，財政の健全性を生み出すかもしれません。ほんとうにそうなるかは，しばらくは見守る必要がありますが，変化の兆しが起きていることは確かです。日本も政治への信頼が必要なのでしょう。鶴さんは，日本の南欧化を避けるためには，「まず政府の透明性を高め，国民の信頼を回復させるとともに，国民の公共心やお互いの信頼を高めていくような対応が必要だ。」と述べておられます。公共心は何から生まれるのかはよくわかりませんが，政治家や役人が自分たちの利益のために行動をしているのが見えると，国民はしらけてしまい，政治への支持は減退してしまいます。たとえば，小沢チルドレンが，小沢氏の無罪判決や党員資格回復に一喜一憂するような画像が流れると，情けない気持ちになります。あまりにも成熟度が低い国会議員をみて，心ある国民はどう思うでしょうか。小沢氏のあんなグレイ判決で喜んでいるなんて，国民の意識からあまりにも遠すぎます。一方，筋が通っていても，相手の揚げ足取りのようなことをしている政党も好きにはなれません。役人の省益重視がみえてきても，しらけます。役人は本当に国民の味方なのでしょうか。それを示してもらいたいです。私は役人にはシンパシーをもちたいと思っている人間なので，それを裏切らないように，今後もがんばってもらいたいと思います。こうして政府の信頼を高めることが，日本の「南欧化」を避けるために重要なことでしょう。&lt;br /&gt;　でも現状を受け入れながら，それでも楽天的に今日の幸せを追求するというラテン気質もまた，日本には必要なもので，そういう「南欧化」なら，よろしいのではないか，という気もしています。だからアモーレなのです。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>時事・社会問題</dc:subject>

<dc:creator>フリオ</dc:creator>
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<title>高年法改正を控えて</title>
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<description>　高年法の改正案が国会にかかっており，日経新聞の経済教室でも，八代尚宏さん，安藤...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　高年法の改正案が国会にかかっており，日経新聞の経済教室でも，八代尚宏さん，安藤至大さん（オイコノミア観ましたよ），大田聰一さんの三人が高齢者雇用について書いておられました。川口さんと私も，『法と経済で読みとく雇用の世界ー働くことの不安と楽しみー』（2012年，有斐閣）の第12章で，このテーマについて書いています。&lt;br /&gt;　ところで，前に書いた濱口桂一郎さんと一緒になった（株）ニッチモ主催の座談会は，定年制をめぐる諸問題を語るというテーマでした。前にその内容の一部を紹介しましたが，それ以外に面白かったのが，私は，定年延長の問題を，定年でいったん雇用が終了した後のエキストラの雇用で，いわば「入口」の問題であると述べたのに対して，濱口さんは，年金の支給開始年齢が引き上げられている以上，65歳までの雇用を保障せざるをえないのであり，後は「出口」をどう考えるかの問題なのだと指摘されたところです。私は採用の自由の制約の問題とみるのに対して，濱口さんは雇用終了の問題とみるわけです。おそらく濱口さんのお考えのほうが現実に即したものなのですが，理論的には，抵抗したいところです。採用の自由は，もともと広く保障されていたもので，徐々に法律により制約されてきたものの，なお重要な法的原理だと思います。私は，新刊書の『労働の正義を考えよう』（2012年，有斐閣）でも，冒頭の第1話で「経営の要諦」という見出しを付けて，採用の自由を論じています。ところが，最近では，労働者派遣法による派遣先の直接雇用のみなしを代表として，採用の自由が危機にさらされています。法律による制約は可能とされているわけですが，だからといって，簡単に制約立法を設けてよいとはいえません。採用の自由を制約することには，実際上もいろいろな「副作用」が出てくるわけです。もっとも若年者雇用にどこまで影響するかは，経済学的にも議論があるようですが，それでも影響がないとはとても思えません。それに雇用に影響しなくても，全体的な処遇の低下につながるということで影響が及ぶのは避けられないでしょう。大学教員のように厳格な定員管理をしているところでは，定年延長は，雇用にも処遇にもダイレクトに影響が生じています。&lt;br /&gt;　高齢者の65歳までの雇用保障について，経営側はこれを「入口」の問題と考えているようです。しかし，濱口さんは，これを「出口」と考えるべきだと言われているわけです。理論的には，「入口」のように経営者の裁量が認められることではなく，「出口」として正当な理由がなければ切れないと考えるべきということでしょう。私は，前にも書いたように，それならば正当な理由に幅をもたせり，あるいは切り方において，ある程度の柔軟さをみせなければ，妥当ではないのではないか，と言いたいところです。&lt;br /&gt;　私の意見はずいぶん経営者寄りと思われるかもしれませんが，年金の財政的な論理から経営者に負担をかけるということが，どうも私の正義感に反するところなのです。ほんとうは，現行法のような労使協定による基準の設定で，それで出口の問題を適切に運用できていたらよかったのでしょうが，改正法案が出てきたのは，これがうまくいかないと評価されたのかもしれません。私は労使協定の運用に問題があるのならそれを改善することはあってもいいのですが，この仕組みそのものは維持しておくべきではなかったかと思います。まだ改正法が通るかどうかわかりませんが，いまいちど，どういう法的ルールが妥当かを考えていくべきではないかと思います。&lt;/p&gt;

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<dc:subject>労働法</dc:subject>

<dc:creator>フリオ</dc:creator>
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<title>労働の正義を考えようー労働法判例からみえるものー</title>
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<description>　私の労働法の新刊が出ました。すでに，このブログでも紹介してきました。私の現在の...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　私の労働法の新刊が出ました。すでに，このブログでも紹介してきました。私の現在の労働法についての考え方を知りたいという人がおられたら，ぜひ手にとってください。私らしさが満載の本だと思います。まじめに，面白くです。労働法の教科書や体系書も，山のようにあります。同じ労働法をテーマに書くのですから，誰が書いても，中身はあまり変わりません。そのなかで，どうやったら個性的なものになるか，そして，何といっても，どうやったら読んだ人にわかりやすいか，ということを模索しました。本書は，法学教室での連載の「Live! Labor Law」の単行本化です。かなり加筆訂正しています。&lt;br /&gt;　連載を始める前，法学教室の当時の編集長のK井さんとS木さんからの依頼は，何か面白いものをということでした。どうやったら面白くできるのか。面白いというのは無理としても，前からやってみたかった語りかけるような調子で書いたらどうだろうか，と提案したところ，それで行こうということになりました。そこで参考にしたのは，前にも書いたと思いますが，池田晶子の『14歳の君へ』（毎日新聞社）風です。目の前にいる読者に語りかけるように，というつもりでした。結局，これは講義風であるということで，連載時のタイトルは「Live! Labor Law」という変わったものになりましたが，当初から気に入っていました。&lt;br /&gt;　形式的なところはともかく，内容的には，何と言っても判例が主役の連載であったので，判例の解説が主となるわけですが，その判例を理解するのに必要な内容を盛り込んでいくと，結局，そこには労働法とは何かという基本に立ち返っていくことになりました。労働法をほんとうの意味で学ぶというのは，経営者の論理と労働者の論理のぶつかりあいのなかで，何が正しいかを模索していくということなのです。それが本書のタイトルにもなった，私の考える「正義」につながります。そこでいう「正義」の重要な要素に，「相対主義」と「決断」があります。相対主義とは，絶対的な価値観に基づく原理主義的な議論を貫き，相手との対話を拒否する姿勢とは対極のもので，相手の話を徹底的に聞き，そこから良き解決を模索するという姿勢を指します。経営者にも論理がある。労働者にも論理がある。そこには対立がある。それをどうすりあわせていくのかが，大切ということです（拙著『雇用はなぜ壊れたのかー会社の論理vs.労働者の論理』（ちくま新書）は，それをわかりやすく書いたものです）。そして，重要な判例は，そこで最高裁なりの一定の解決を示しているわけです。私は，その「決断」は，「相対主義」と矛盾するものとは思っていません。相対主義のままで，互いがすりよれないときには，とりあえずは解決をしなければならないのです。これは権力作用ですが，どうしても必要なものです。最高裁が，労働者の論理と経営者の論理のなかで，解決のための「決断」をどのようにしているか。どういう事実に対して，どういう理由でそれをしているか。それをみることにより，最高裁の「決断」の意味を理解することができるのです。&lt;br /&gt;　私は，『労働の正義を考えよう』で，労働法判例を通して，こうした労働法の議論の根底にある利益対立構造を明らかにして，裁判所の「決断」の中身を明らかにしていこうとしました。「労働法判例からみえるもの」というサブタイトルには，そういう意味がこめられています。そして，「正義」という言葉に，私なりの上記の意味での相対主義をこめているのです。多様な価値観や論理があるなかで，読者にそこに飛び込んで考えてもらいたいのです。&lt;br /&gt;　そういう考えるための本というのが，本書の最大の特徴だと思っています。考えるための問題提起というコンセプトは，『雇用社会の25の疑問ー労働法再入門ー』（弘文堂）から始まっていますが，本書は，判例を主役に，さらに文体を親しみやすくして，同じ目線で一緒に考えようという形にしているつもりです。各テーマの最後に，4人の学生と教師が対話するコーナーがあり，そこでもかなり重要な議論をしています。日頃から，教師のほうも，学生から教えられるところがあるのです。そういう感じが現れればと思っています。&lt;br /&gt;　あちらこちらに最新の議論を取り込み，私見を提示しているところもあります。冒頭に書いたとおり，いろんな意味で私らしい本ができたと思います。前の『雇用社会の25の疑問』（第2版で，実際には28の疑問になってしまっていますが）に続き，今回も25のテーマがとりあげられています。ぜひ1週間に1テーマくらいのペースで，じっくり読んでじっくり考えてもらいたいと思います。答えを得る本ではなく，自分で考える本なのです。本書を読んで，自分なりの考えを進めていったとき，みなさんの労働法の理解は，深く豊かなものになっていると思います。&lt;/p&gt;

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<dc:subject>私の著作</dc:subject>

<dc:creator>フリオ</dc:creator>
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<title>日本の雇用終了</title>
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<description>　先日，濱口桂一郎さんと企業の方二人と，株式会社ニッチモがやっておられる「第12...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　先日，濱口桂一郎さんと企業の方二人と，株式会社ニッチモがやっておられる「第12回HRmicsレビュー」に呼ばれて一緒に座談会に登壇してきました。その内容（高齢者雇用や定年のこと）は，また後日，紹介するとして，その際に，JILPTの『日本の雇用終了－労働局あっせん事例から－』をいただきました。どうもありがとうございました。JILPTとは縁がなくなったので，どういう本を出されているか知らなかったので，たいへん助かります。この本は，JILPT編となっていますが，濱口さんの単著です。労働局のあっせん事例を詳しく紹介した資料的な部分が大半を占めますが，それはそれで面白いのですが，さらに重要なのは濱口さんの分析です。要するに，あっせん事例からわかることは，職場における生ける法（「フォーク・レイバー・ロー」と呼ばれています）が，裁判規範とは別に存在しているということです。「フォーク・レイバー・ロー」のなかには，裁判となると否定されるものの，現実には妥当していて，あっせんの場では通用するようなルールがあるのです。そして，こうした，「フォーク・レイバー・ロー」の一つとして濱口さんが指摘するのは，「態度」が悪ければ雇用終了となるというルールです。ここは，座談会でも議論となった点ですが，私が定年制の機能として，雇用終了機能と雇用保障機能とがあり，近年では，この雇用終了機能が問題視されるようになったのだが，定年延長や継続雇用の強制をする以上は，もう一つの雇用保障機能を弱める必要になり，能力不足を理由とする解雇のような考え方を取り入れる必要があるのではないか，という趣旨のことを述べたところ，濱口さんは，そもそも雇用保障機能といったって，そんなものは大企業でしかなく，中小企業の労働者にはほとんどないのではないか，裁判になったら勝てるとしても，莫大な時間や金をかけて労働組合の後ろ盾もなく戦う人はいないだろう，という点，また企業はそもそも能力不足を理由とする解雇なんてしていなくて，態度の悪さによる解雇のほうが多い，という指摘をされ，労働法学者は雇用社会の一部しか見ていないのだという批判をしてくださいました。&lt;br /&gt;　聴衆は，私たちが喧嘩を始めたのではないかと思ったようですが，そんなことはないのであり，私は雇用社会の実態がそんなものであろうということは，十分に承知しているのです。特に，この5年くらいの労働委員会でのあっせんの経験の蓄積があり，兵庫県は個別紛争は扱っていないものの，実質個別紛争が労調法のあっせんでも，また労組法の審査事件でも，持ち込まれるので，中小企業の実態は労働法とは遠いところにあるのは，日頃から痛感しています。だから，濱口さんがおっしゃることは，よく理解できるのです。問題は，そこから先で，法と実態の乖離について，どう対処していくかです。実は，私自身は，この問題について，本書でもふれられている法のエンフォースメントという観点から，いくつかの提案をしています。たとえば，拙著『君は雇用社会を生き延びられるか』（2011年，明石書店）で，法改正の提言をいくつかしていますが，そこでの基本的なコンセプトは，どの企業でも広く守れるような法に改めていくべきだ，という方向です。労働時間の規制，年休などに関する提言がそういうもので（詳細は，本を読んでください），実態をふまえたうえで，法を改めていくという方向性です。この種の議論には，ソフトローの議論もありますが，法の実体面に着目して，エンフォースメントを考えようというのが，私の議論の特徴だと思っています。ただ，これは規制緩和論と似ているので，誤解されやすいところです。もう一つは，より抜本的に，中小企業において法の適用除外をするという方向性です。これについては，こうしたことが大事だと考え，共同研究をして，外国の法制度はどうなっているのかを調べてみました（その成果は，季刊労働法で連載しました。私が書いた，「中小企業に対する労働法規制の適用除外に関する共同比較法研究－連載を始めるにあたって－」季労223号64頁以下，「中小企業に対する労働法規制の適用除外に関する共同比較法研究－連載を終えるにあたって－」季労227号95-106頁も参照してください）。この研究はもっと広げて実態調査もしたかったので科研費の申請をしましたが採択されず，経営者団体での研究プロジェクトもお願いしていましたが，採択されませんでした。この研究の価値がわかってもらえていないのは残念ですが，いつかタイミングを計って，またチャレンジしたいと思っています。&lt;br /&gt;　私の問題関心は以上のようなものですが，濱口さんは，おそらく目指すべきところはやや違うのかもしれませんが，実態をふまえた法政策の提言をすべきだということでは，私と共通しているのだと思います。ちなみに実態にあわない法政策を原理主義的な観点から独断的に進めることが問題だということについては，「法制度と実態の関係に関する二つのテーゼ－労働法制の改革をめぐり学者は何をすべきか－」菅野和夫・中嶋士元也・渡辺章編『友愛と法』（2007年，信山社）33-55頁で書いたこともあります。&lt;br /&gt;　話を戻すと，日本の雇用社会において能力がないよりも，態度が悪いほうが，問題視されるというのは，直感的にもよくわかることです。私に言わせれば，これは「能力」の概念をどう捉えるかということだとも思いますが，要するに企業への貢献度の問題と言えばよいのだと思います。企業の生産に貢献する程度は，プロ集団であれば「専門性」といった狭義の能力が重要で，日本の多くの従業員のようなセミ・プロ的な者の集団の場合には，仕事の出来がそこそこでも態度が悪ければ，貢献度が低いのでしょう。しかし，態度の悪さのようなものは主観的な評価であり，それが企業の貢献度にどう悪影響を及ぼしているかを企業が立証するのも困難です。ここから先の立法論は二つに分かれるのです。一つは，立証困難だから，企業は解雇をそういう理由でやってはならない，というものです。これが現在の日本の判例法理でしょう。もう一つは，立証困難だから，企業に自由に解雇をやらそう，ということです。企業としては，何も貢献している従業員を解雇しようとしているわけではないのです。解雇された従業員のほうは，コミュニケーション力に難があっても，仕事はきちんとしているなどといって解雇は不当と言うでしょう。ただ，コミュニケーション力が，実は日本企業の貢献度にとって重要ということもあるのです。採用の自由が重要なのは，必要な人材の選択は企業に任せる必要があるということですが，それを解雇の場面にも及ぼすわけです（ただ，特定の属性に基づく差別的な解雇は禁止されるでしょうが）。&lt;br /&gt;　「フォーク・レイバー・ロー」からすると，解雇規制は能力不足の従業員を抱え込むという弊害があるので，緩和すべきだというのは，確かに説得力がないのかもしれませんが，逆に態度が悪いという理由の解雇は認めるべきということになるのでしょうか。やはりそういう解雇は，規範的にみて，許すべきではないということになるのでしょうか。&lt;br /&gt;　……などと，いろんなことを考えさせてくれた本でした。&lt;/p&gt;

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<dc:subject>雇用政策</dc:subject>

<dc:creator>フリオ</dc:creator>
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<item rdf:about="http://souchi.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-f318.html">
<title>労働協約の地域的拡張適用</title>
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<description>　古川景一・川口美貴『労働協約の地域的拡張適用－UIゼンセン同盟の実践と理論的考...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　古川景一・川口美貴『労働協約の地域的拡張適用－UIゼンセン同盟の実践と理論的考察－』（信山社）を読みました。御礼がたいへん遅れましたが，御著書をいただき，誠にありがとうございました。前から読もうと思っていたのですが，読むなら一気にということで，研究室に積んだままでした。ちょっと労働協約のことを調べたいと思い，読み始めたら，意外にと言っては失礼なのですが，面白かったのです。とりあえず資料編以外のところまでは一気に読みました。まずは，労働組合法18条という，これまでの労組法の研究の完全な空白領域に，実践と理論の両面から徹底的なメスを入れるという作業に，心より敬意を表したいと思います。特に実践面のところは，ちょっとしたドキュメントで，とても面白かったです。労働協約一般のところの検討はちょっと平板な感じがしましたし，もっと論じるところはあると思いましたが，18条のところになると，ほんとうに勉強になりました。&lt;br /&gt;　よく考えると当然のことなのですが，17条は同じ使用者内での拡張適用であるのに対して，18条は違う使用者にまたがるわけで，当然，17条とは違った発想で考える必要があるわけです。18条では，債務的部分の拡張適用というものもありうるのです（17条でも少数組合に拡張適用されるとする解釈に立てば，別ですが）。また18条では，地域の公正な競争の確保という，17条とは違う視点も出てきます。それに18条の拡張適用の要件には「一の地域」とか「大部分」というような驚くほど曖昧な概念もあって，その解釈もほんとうは重要です。もっとも，今日では，18条は死文化して，拡張適用の申立事例は，近年はないようです。ただ，いつ申立がされるかわからず，その際には，いろいろな理論的な問題が出てきうることが，わかりました。私は，人のやらない地味な領域の研究を地道にやることは，研究においてとても重要だと思っています。自分ではなかなかできないので，こういう研究をされた両人の今後のご活躍を期待したいところです。労働者性の本も送っていただいているのですが，それはいずれまた読んで紹介します。&lt;/p&gt;

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<dc:subject>労働法</dc:subject>

<dc:creator>フリオ</dc:creator>
<dc:date>2012-05-17T23:45:08+09:00</dc:date>
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