DVD

2012年4月26日 (木)

Juno

Juno という映画のDVDを観ました。ハートウオーミングな映画ということのようでしたが,私にはややクビをひねりたくなるところもありました。16歳の女の子Junoが,同級生といきなりセックスして妊娠してしまうところから始まります。Junoは初めは中絶を考えましたが,クリニックの前で中絶反対運動をしているアジア系の同級生から,胎児には爪があるという言葉を聞くなどして,気が変わります。そこで赤ん坊を養子に出そうと考えます。それを父親と義母に告白します。タウン誌である夫婦が養子をさがしていることを知ったJunoは,その夫婦と養子縁組の契約(予約?)をかわします。その後,Junoは何度か,胎児の状況などを報告するために、その夫婦の家に行きますが,妻のほうがいないことが多く,夫と話をしていると趣味が近いことなどから,Junoはその夫と親しくなります。そして,夫のほうは徐々にJunoを女性としてみるようになっていきます。この夫婦は,妻がリアリストで,夫のホラー映画やロックなどの趣味を理解しないので,夫は窮屈に思っているのです。しかも夫のほうは実は養子をもらうことを望んでいませんでした。こうしたすれちがいから,夫は離婚することを決意し,Junoと一緒に住もうと言い出し,Junoは驚いてしまいます。Junoはもちろんその申し出を断り,本当に愛している男性は,お腹の子の父である同級生であることを再確認します。その後,Junoは無事に出産し,離婚して一人になった女性のほうが赤ん坊を引き取っていきます。そして,高校生の若いカップルは,仲良くギターを弾きながら歌うシーンで終わります。
 自由奔放な娘を暖かく見守る父,血がつながっていないが,強く優しく娘を守る頼りになる母,ちょっと適当だが,いつもそばにいてくれる女友達,そして,いとしい彼といった,彼女の周りには素敵な人たちがいたというところが,ハートウオーミングなのかもしれません。でも,言い換えると,そもそも16歳で避妊せずにセックスし,簡単に中絶を考え,それが嫌になって,とっとと養子に出すことを決め(お金をとらなかったところが美談っぽくなっています),というように,とても褒められた行為ではないでしょう。不妊カップルと堕胎を望む若いカップルの物語という感じもしますが,こういうのを,良い人たちの物語のような感じになっているところがちょっとイヤでした。
 ところで,アメリカは,16歳でも,車の運転ができるのですね(州によって違うのかもしれませんが)。16歳となると,もう一人前で,自分でいろんなことを決めて決断していき,それを周りの人が支えていくんだな,ということがわかりました。そういう観点からみると,アメリカが個性的で自立的であり,それを家族や友人が支えていく社会だというようになり,それはそれでよい社会かなという気もしますが……  ☆☆

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Juno

Juno という映画のDVDを観ました。ハートウオーミングな映画ということのようでしたが,私にはややクビをひねりたくなるところもありました。16歳の女の子Junoが,同級生といきなりセックスして妊娠してしまうところから始まります。Junoは初めは中絶を考えましたが,クリニックの前で中絶反対運動をしているアジア系の同級生から,胎児には爪があるという言葉を聞くなどして,気が変わります。そこで赤ん坊を養子に出そうと考えます。それを父親と義母に告白します。タウン誌である夫婦が養子をさがしていることを知ったJunoは,その夫婦と養子縁組の契約(予約?)をかわします。その後,Junoは何度か,胎児の状況などを報告するために、その夫婦の家に行きますが,妻のほうがいないことが多く,夫と話をしていると趣味が近いことなどから,Junoはその夫と親しくなります。そして,夫のほうは徐々にJunoを女性としてみるようになっていきます。この夫婦は,妻がリアリストで,夫のホラー映画やロックなどの趣味を理解しないので,夫は窮屈に思っているのです。しかも夫のほうは実は養子をもらうことを望んでいませんでした。こうしたすれちがいから,夫は離婚することを決意し,Junoと一緒に住もうと言い出し,Junoは驚いてしまいます。Junoはもちろんその申し出を断り,本当に愛している男性は,お腹の子の父である同級生であることを再確認します。その後,Junoは無事に出産し,離婚して一人になった女性のほうが赤ん坊を引き取っていきます。そして,高校生の若いカップルは,仲良くギターを弾きながら歌うシーンで終わります。
 自由奔放な娘を暖かく見守る父,血がつながっていないが,強く優しく娘を守る頼りになる母,ちょっと適当だが,いつもそばにいてくれる女友達,そして,いとしい彼といった,彼女の周りには素敵な人たちがいたというところが,ハートウオーミングなのかもしれません。でも,言い換えると,そもそも16歳で避妊せずにセックスし,簡単に中絶を考え,それが嫌になって,とっとと養子に出すことを決め(お金をとらなかったところが美談っぽくなっています),というように,とても褒められた行為ではないでしょう。不妊カップルと堕胎を望む若いカップルの物語という感じもしますが,こういうのを,良い人たちの物語のような感じになっているところがちょっとイヤでした。
 ところで,アメリカは,16歳でも,車の運転ができるのですね(州によって違うのかもしれませんが)。16歳となると,もう一人前で,自分でいろんなことを決めて決断していき,それを周りの人が支えていくんだな,ということがわかりました。そういう観点からみると,アメリカが個性的で自立的であり,それを家族や友人が支えていく社会だというようになり,それはそれでよい社会かなという気もしますが……  ☆☆

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2011年3月 8日 (火)

蝶々夫人

 Madama Butterfly(Farfalla),言うまでもなく,プッチーニの有名なオペラです。あまりにも有名なので解説不要ですが,あえて簡単にまとめていうと,アメリカ人のピンカートンが,長崎で没落した武家の娘で芸者をしている15歳の蝶々さんと結婚しますが,彼には最初からその気がなく,とっととアメリカに帰りますが,彼の子を産んでいた蝶々さんは3年間彼を待ち続けます。ピンカートンは再来日しますが,アメリカ人の本妻を連れていて,子を引き取るといいます。絶望した蝶々さんは父の形見の短剣で自害します。
 というような話ですが,日本人に対する誤解や偏見があって,日本人には複雑な気分となるオペラです。とはいえ,古き良き日本女性(というと怒られるでしゅが)を観ることができるのですが,それを外国人女性がやっているので,何とも違和感があります。私はフレー二(Mirella Freni)とドミンゴ(Placido Domingo)のもののDVDを持っているのですが,映像はちょっと見てられないですね。趣味の悪い仮装大会という感じです。ピンカートンを見ていると,ますますアメリカ人が嫌いになりそうですが,ドミンゴはどこか愛すべきところが会って憎めない感じです。
 劇中の「いつか,ある日」(Un bel di vedremo)や「坊や,お前は小さな神様」(Tu? tu? Piccolo Iddio!)は,みんなが聞いたことがある曲ですが,やはり素晴らしいです。後者の曲は,一番最後のシーンに出てくるもので,坊やと別れを伝える部分で,情感を込めて歌うところです。「Gioca gioca」(遊んでなさい,遊んでなさい)と言って,子供を追いやって自害しようとするのです。私は,カーラス(Maria Callas)のものも好きで,よくIpod で聞いています。

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2010年10月 4日 (月)

ソロモンとシバの女王

旧約聖書に出てくるとされるシバの女王の話に興味があり,DVD『ソロモンとシバの女王』を観ました。1959年のアメリカ映画です。シバの女王が,遠くからはるばるイスラエルのソロモン王に会いに来るという話なのですが,DVDでは,エジプト王ファラオの密命を帯びて,ソロモンを嵌めに来たシバの女王が,ソロモンとの恋に落ちてしまい,ソロモンも彼女に入れあげてしまったため,ソロモンは側近や民衆の支持を失い,神の怒りもかって,エジプト人との闘いで窮地に陥るのですが,最後は女王が神に対して,ソロモンと別れることを条件にソロモンを助けてくれるよう懇請することによって,ソロモンは窮地を脱するという話です。異教徒の女王の祈りを,ユダヤの神が聞き入れるというのにはちょっと違和感を覚えましたが,とにかく全編を通して,ユダヤの神の偉大さが伝えられています。
偉大な父ダビデからの王位継承をめぐるソロモンと兄との闘いのシーン,ソロモンが智恵者たるところをいかんなく発揮する有名なシーン(二人の女が,ある赤ん坊が自分の子であると争っているとき,ソロモンは,部下に赤ん坊を二つに切って,二人に分け与えよ,と命じました。そのとき,一人の女が,自分は赤ん坊はいらないから切らないでと泣き叫んだところ,ソロモンは,その女がほんとうの母だと認めたというものです)もあり,楽しめました。
ソロモン役は,ユル・ブリンナーでした。ややきつい表情ですが,精悍な二枚目です。私はユル・ブリンナーは,髪の毛をそり上げた後のちょっと怖い顔しか知らなかったので驚きましたが,懐かしくなりました。彼は25年前に肺がんで亡くなりましたが,死ぬ前に禁煙コマーションに出ていたことは,当時,話題となりました。
女王役は,ジーナ・ロロブリジーダという女優です。私は知らなかったのですが,かつては大活躍したイタリア人だそうです。妖艶で健気な女王という役を演じています。

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2010年9月10日 (金)

Jonny Stecchino

アカデミー賞をとった「Life is beautiful」で有名な Roberto Benigni の初期の映画の一つです。私は,イタリア留学中にみたもので,あまりに面白かったので,もう一度見たいと思っていて,やっと手に入りました。日本では,「ジョニーの事情」というタイトルになっていますが,ちょっとタイトルに問題がありますね。「stecchino」(ステッキーノ)とは,爪楊枝のことです。「stecco」というのは細い枝というような意味で,それに~inoという縮小辞がついたものです。ステッキというのも同起源の言葉ではないでしょうかね。
映画のあらすじは,ダンテという養護学校のスクールバスの運転手が,ジョニー・ステッキーノというマフィアの親分と瓜二つであることからくる,ドタバタ劇です。でも,Benigni に特有の風刺も効いていて,裁判官,大臣,聖職者をからかうところなど面白いですし,逆に知的障害者に優しい目線をもっているところも特徴的です。Benigniの実の奥さんである,Nicoletta Breschi が美しいキーパーソンになっています(イタリアには,こういう美人が,ときどきいて,目を奪われます)。この映画の実質的な登場人物は,この夫婦だけです。
途中で笑いすぎて,久しぶりに「腹がよじれる」というような経験をしました。ほんとうに死ぬかと思いました。ダンテは,最後まで,自分がなんでパレルモに連れて行かれて,バナナを盗んだだけで命をねらわれて,そして,Breschi 扮するマリアにキスをされたのか,わからないままです。ところで,マリアが,たびたび口にする感嘆詞「Santa Cleopatora」(聖なるクレオパトラ)が,どういうニュアンスをもっているか,最後までよくわかりませんでした。マリアを,神秘的で,男を狂わせたクレオパトラになぞらえていたのでしょうか。いずれにせよ,単なるコメディという感じではない,不思議な味わいのあるこのイタリア映画を,ぜひご覧ください。

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2010年9月 7日 (火)

戦場のピアニスト

 Roman Polanski というと,未成年への淫行のため,米国に入国できないことで有名ですが,何と言っても,カンヌのパルム・ドールとアカデミー賞をとった『戦場のピアニスト』は感動的な作品です。ずっと前に買っていたのですが,今日,DVDで初めてみました。テーマは,ナチスに侵攻されたワルシャワで,すでに有名なピアニストであったユダヤ人のシュピルマンが,いろんな人に助けられながら,奇跡的に生き残っていくというものです(家族はすべて移送されていきました。ガス室送りだったのでしょう)。実話に基づくものであるというのには驚きます。全編でナチスの恐怖と狂気が出てきます。改めて戦争の悲惨さを思い知らされます。この映画では,主要な箇所で,ショパンの音楽が流れていますが,最後に,「華麗なる大ポロネーズ」を弾いた部分は,ほんとうに生き残れて再びピアノを弾くことができて良かった,という感動に満ちあふれたものになっています。また,シュピルマンが隠れているところを,ドイツ将校に見つかったときに,その将校の前で弾いた,「バラード第1番ト短調作品23」も良かったです。たぶん殺されることを覚悟していたであろうシュピルマンが,一縷の望みをかけて弾いたのでしょう。この曲は,最後のところが,終わりそうで,なかなか最後に終わらずに,素人は,ちょっと早まって拍手をしてしまうものなのですが,まさにそういうところが,この映画のなかでは,シュピルマンの命が危機にさらされながらも,なんとか長らえていくことを象徴しているような気がしました(シュピルマンを救ったドイツ将校は,最後は,ソ連の収容所で亡くなります。ただ,あのナチスの中にも,ユダヤ人を救った心ある人がいたことをきちんと伝えたところに,この映画の懐の深さがあると思いました)。シュピルマンが,冒頭にラジオ局で弾いていたのは,「夜想曲20番」でした。ゆったりともの悲しい感じで始まるこの曲は,その後の悲しい展開を暗示するものであったような気がします。戦後に平和が戻って,シュピルマンが,再び同じラジオ局でこの曲を弾きます。深い感情を込めるのに適した曲という感じがします。
多くの人はすでに観ていると思いますが,もしまだなら,そしてショパン好きな人ならなおさら,お勧めです。
ちなみに,私は,ショパンは,「幻想即興曲」と「華麗なる大円舞曲」が好きですね。また,癒し系の短い曲ですが,「エオリアン・ハープ」も好きです。

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2010年1月24日 (日)

Monica Bellucci

イタリアの宝石と呼ばれる女優が,Monica Bellucci(モニカ・ベルッチ)です。どんな女優が好きかと言われれば,この人の名前をあげてきました。その特徴は,美とグラマラスの共演という点です。肉感的美人という感じですね。日本人で言うと,叶姉妹の妹と同じような系統でしょうか。もちろん,私が,こういう女性と付き合いたいということではなく,あくまで観賞用としての好みということですが。 イタリアの女優は,それほど日本ではポピュラーではない気もします。年輩の人ならば,Sofia Loren(ソフィア・ローレン)でしょうし,若いときに「青い体験」を見て心をときめかせた人なら,Laura Antonelli (ラウラ・アントネッリ)でしょうかね。 ところで私がモニカ・ベルッチを初めてみたのは,「アレックス」というDVDです。過激なシーンがあり,未成年禁止の映画だったはずです。原題は,フランス語のIrréversible,「元に戻すことができない」です。どうして,そういうタイトルになっているのかは,ネタバレになるので,詳細は言いませんが,要するに,ささいなことがきっかけに,取り返しのつかないことになる,という話です。「取り返しの付かないこと」は,この映画では半端なことではなく,モニカが体当たりの演技で,それを表現してくれています。モニカの美しさを存分に味わうこともできます(ただし,女性には,お勧めではありません)し,その美が破壊されるところも味わえる(?)というグロテスクな部分もある映画です。 日本人の女性は,自分が太っていると思いこんで痩せようとしている人が多いように思いますが,男性は痩せている女性に魅力を感じることは少ないと思います。このことは,最近,よく言われていることですが,改めて,モニカのようなぽっちゃり系でも良いんだということを強く訴えたいですね。

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2010年1月13日 (水)

Don Carlo

ヴェルディ(Giuseppe Verdi)のオペラの長編作品に,『ドン・カルロ(Don Carlo)』というのがあります。長いオペラです。久しぶりにDVDで観ました。これは実話がベースになっています。
 フランスの王女であるエリザベート(イタリア語風では,Elisabetta)が,スペインの皇太子のドン・カルロに嫁ぐことになっており,二人は偶然に初めて会ったときから恋に落ちました。ところが,突然,ドン・カルロの父,すなわちスペイン王のフィリップ(Filippo)2世が,後妻にエリザベートをもらうと決めてしまったことから悲劇が起きました。ドン・カルロは,母となったエリザベートを思い続けて,苦しみます。ドン・カルロを愛するエリザベートの友人(女官?)エボリ公女(Principessa di Eboli)は,フィリップの愛人でありながら,ドン・カルロがエリザベートを愛していることに嫉妬して,二人は不義の関係にあると讒言し,二人を陥れようとします。最後は,ドン・カルロは,友人ロドリゴ(Rodrigo)の命を賭けた尽力もあって,エリザベートと会うことができ,あの世での愛の成就を誓う,というような話です。
 四角関係でややこしい愛憎劇なのですが,中心にあるのは,(義)母と息子の関係になってしまったが,心の中では愛し合うエリザベートとドン・カルロの物語でしょう。また背景に,スペインが,フランドルの新教徒に対して行っている弾圧を,止めさせようとして共闘するドン・カルロとロドリゴの友情の話もあります。宗教的な背景がわからなければ,このオペラの理解は難しいような気がしますね(私もよく理解できているわけではありませんが)。
ソプラノの聴かせどころの頂点は,最後のほうでエリザベートが歌う「世の空しさを知りたもうあなた(Tu che le vanità)」ですね。切々と歌い上げる見せ場です。私の観たDVDでは,Mirella Freni でした。Don Carlo役は,お馴染みDomingoです。この二人の二重唱は,とても綺麗なハーモニーでした。

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2009年12月 8日 (火)

Caligula

かつてペントハウス社が作った映画に「カリギュラ」という映画がありました。ハードポルノとして有名ですが,先日,久しぶりに観てみました。それほど感動はなかったですね。いずれにせよ,子どもには見せられない映画です。
アウグストゥス(オクタビアヌス)から始まるローマ帝国の3代皇帝のカリグラが主人公です。映画では,2代皇帝のティベリウスを部下の手を通して殺して即位したところから始まり,最後は妻と娘とともに惨殺されるところで終わります。塩野七生の『ローマ人の物語』の文庫版の第18巻では,ティベリウスは,老衰による自然死となっていますが,異論はあるようです。最後に側近の近衛軍団の大隊長により殺されたということは史実でしょう。1歳の娘がたたきつけられて死ぬというのも史実のようです。映画では,人形でしたが,やはり娘が惨殺されるシーンが出てきました。
皇帝が性的に倒錯していたということなどは,別に驚くことではないでしょうね。カリグラ以外にも,そんな皇帝はいくらでもいたでしょう。新婚の妻の初夜を奪うところなどは少しびっくりしますが,中世でも,領主の権利として認められていた例はいくらでもあったようです(真偽は定かでありませんが)。
ところで,カエサルが土台を作り,アウグストゥスが完成し,ティベリウスが盤石なものとしたローマ帝国が,カリグラの治世でぐらぐらしてくるのですが,アウグストゥスが自分の血を引き継ぐ者を後継者にしたいという欲望(血がつながっていないティベリウスを後継者にすることには,アウグストゥスはためらっていた)が,帝国を危うくしていく様が,何とも興味深いですね。アウグストゥスはカエサルの血を引いていないはずですけどね。
映画には出てきませんが,塩野七生の本には,カリグラとユダヤ人との反目のところが出てきます。自らを神とするカリグラとそれを認めることができないユダヤ人の戦いは,宗教問題の根っこを教えてくれるようで勉強になります。

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2009年11月30日 (月)

太陽がいっぱい

DVDで『太陽がいっぱい』を観ました。何度もテレビで観たことがありますが,やはり面白いです。ローマやナポリなどのイタリアの街のシーンも出てきます。Mongibello という漁村が中心となっているのですが,そんな街は聞いたことがありませんね。映画の中で時刻表を見るシーンがあるのですが,それによると,ナポリから南に4時間くらいのところにあるようです。
ところで,原題は「Plein Soleil」ですが, イタリア語では,「Delitto in Pieno Sole」なのです。直訳すると,「白日の下での犯罪」となるのです。そうなると,「太陽がいっぱい」という訳は,ピンとこなくなりますね。しかし,「Plein Soleil」「Pieno Sole」には,いろいろな意味がこめられていようでもあります。ラストに,アラン・ドロンが「太陽がいっぱいさ」といって,「Meilleur(最高だ)」とくり返す有名なシーンがありますが,この部分から映画のタイトルが来たのだとすると,あの最後のシーンが何かを暗示している可能性もあります。
それにしても,主役のアラン・ドロン(Alain Dolon)は美しいですね。この美しさがかえって不気味で,これはホモの映画という評判もあるようです。それはともかく,ドロンの瞳は,とても印象的です。不良だけれど,どこか憎めない,不思議な余韻の悪党映画でもあります。
ところで,この前,30歳の女性にアラン・ドロンのことを知っているかと聞くと,知らないと言われて驚きました。私たちの世代では,アラン・ドロンは二枚目の代表でした。このブログでも時々出てくる太田裕美の歌に「赤いハイヒール」というのがあり,そこで,「アランドロンと僕を比べて陽気に笑う君が好きだよ」という男のセリフの部分があります(松本隆作詞)。
昔は,ちょっと大人の女性は,私はアラン・ドロン派じゃなくて,ジャン・ポール・ベルモンド(Jean-Paul Belmondo)派よと,言ったものでした。フランスでは,当時から,ドロンよりもベルモンドのほうが人気があったそうで,私は,男を外見だけではなく,中身を見極める女なのよ,ということを示したがっていたのでしょうね。

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