学部ゼミ最終回
先日の木曜は学部ゼミの最終回でした。最終回のテーマは「労働者の自己決定」です。拙著『雇用社会の25の疑問ー労働法再入門(第2版)』(弘文堂)の第21話と第22話を素材にしています。労働者の自己決定はどこまで許されるのか,というテーマです。議論のなかでは,労働者の自己決定を尊重すべきという立場は少数でした。具体的にみると,学生たちは,上のほうの人の自己決定と下のほうの自己決定とを区別すべきだと言いました。前者は,たとえば自分の能力に自信のある労働者が,労働契約法16条の適用は不要だが,賃金を倍にするという契約を結ぶことはできるか,割増賃金込みの月給の合意は,高額の月給であればOKか,というような話で,これについては賛成論と反対論とが分かれました。一方,後者は,本当に納得済みであれば,最低賃金を下回る合意は有効かという話で,これについては,ほとんどが反対の立場でした。いくら本人が同意をしていても,ダメなものはダメで,それは公序良俗違反の契約が無効となるのと同じようなことだという意見もありました。
学生の考え方は,ある意味では健全であって,私がいくら自己決定の重要性を指摘し,いわゆるデロゲーションの議論に誘導をしようとしても,労働者がいったん同意をしていたとしても,最低ラインはきちんと設定して守られるようにしなければならない,というのです。労働者の自己決定などは,あてになるものではないという自己決定懐疑論が強かったです。自己決定は,結局,自己責任を正当化するだけという趣旨の意見もありました。
労働法とパターナリズム,国家と契約というような大きな問題を意識しながら,今年度のゼミは終了しました。学生たちが,いかに私の考えに染まらなかったかを考えさせるゼミ最終回ともなりました。
いずれにせよ,いまの4年生と3年生のゼミは,これで最後です。4年生は,この2年間でずいぶんと成長したと思います。みんな自分なりの考え方を堂々と言えるようになり,たくましくなりました。そして,世の中の現象を多角的に眺める力を身につけてくれました。いろんな利害が対立するなかで,どういう政策を進めていくのがよいかを考える作業,あるいは,単純な原理主義的な行動はダメで,対立する意見にも,常にそれなりの理があるということを意識しながら,自分の考え方を固めていくという作業を,ゼミではずっとやってきたのです。こうした訓練が彼ら,彼女らの将来に役立ってくれればと思っています。そして,みんなが,それぞれの道で立派に活躍していくことを,心より祈っています。
ゼミ後は,飲み会でしたが,4年生のみんながほんとうに仲が良く,そして楽しそうに飲んでいる姿を見ることができて嬉しかったです。私は,いつものように,恋の相談コーナーのようなことになってしまい,学生にアモーレを語っているだけでしたが……
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